特定贈与信託とは、障害者の生活の安定を図ることを目的として、その親族が信託銀行等に金銭等の財産を信託するものです。信託銀行は信託された財産を管理、運用をして特定障害者の生活費や医療費として信託財産より定期的にお金を渡します。
特に障害を持ったお子様がいらっしゃる方などに有効な財産の承継方法であります。
特定障害者とは?
まず特定障害者とはどのような人のことを指すのでしょうか?特定障害者とは下記のどちらかに該当する人を指します。
1.特別障害者
2.特別障害者以外の障害者のうち精神に障害がある方
特別障害者とは、精神又は身体に著しく重度の障害を有するため、日常生活において常に特別な介護を必要とする状態にある在宅の20歳以上の方を指します。税法などで厳密に定義されていますが、わからない場合、信託銀行にて特定贈与信託を使用する際の条件などを具体的に聞いておくと良いと思います。
特定贈与信託の構図
特定贈与信託の構図について簡単にご説明いたします。まず委任者は親であることがほとんどです。受益者は障害を持った子になります。受託者は銀行や司法書士等です。まず親が信託銀行などと契約の締結をし、信託銀行が障害を持った子に定期的に金銭を交付するという形になります。
税制面と税制優遇について
特定贈与信託では税制面において優遇措置があります。贈与税の非課税限度は、特別障害者の場合6,000万円、特別障害者以外の特定障害者の場合3,000万円となります。
注意点
年齢に相応しくない預金額等は税務調査によって名義預金と判断されることがあります。実際7割近くが税務調査で指摘されていると言います。贈与のつもりが通帳や印鑑を名義人に渡しておらず自分自身で管理しているなど理由はいろいろあります。名義預金と判定されてしまった場合は相続税等の修正申告が必要になります。
※名義預金とは実際の預金者と口座の名義人が異なる預金のことです。名義預金は相続において名義人の財産ではなく被相続人の財産とみなされます。
もう少し具体的に説明すると、障害を持った子がいる親が、子供の将来を心配して子供名義の口座をつくりずっと現金を貯めていたとします。このような場合、法的には全く問題はございませんが、親から子供への贈与とみなされることが多いです。そのように判定されてしまうと贈与税・相続税がかかります。
申告を漏れてしまうと後から贈与税・相続税の追徴課税となるリスクも孕んでいますので注意が必要です。