相続人が戦前に失踪している場合、通常の相続とどのように違うのでしょうか?
大まかにいうと戦前は旧民法により相続手続きが行われており、旧民法の特徴として家督相続と遺産相続の2種類がありました。相続人が失踪している場合でも、家督相続人が失踪しているのか、遺産相続人が失踪しているのかでも若干異なってきます。
戦争前後の民法の流れ
まず戦争の前後の法律の流れを整理します。ご存知の通り昭和20年8月15日に戦争は終結しております。昭和22年5月3日に日本国憲法が施行され、昭和23年1月1日に新民法が施行されました。新民法が施行される前は旧民法が相続について規定されており、家督相続がありました。
日本国憲法が制定され施行されてから、新民法が施行されるまでの間は、旧民法が日本国憲法の精神に反するため、旧民法をそのまま適用することはできず、応急措置法が適用されておりました。
旧民法時代、不動産を所有しているのがほぼ戸主であったため相続登記のほとんどのケースが家督相続を登記原因等する相続の場合、相続登記の主流でありました。一方長男が戸主だった場合、弟が所有する不動産については戸主でない家族が所有する不動産のため遺産相続となります。
旧民法における失踪宣告
旧民法においても失踪宣告はあり、現行と同様特別失踪と普通失踪の2種類ありました。昭和37年の改正前の特別失踪については3年の期間満了により死亡の効果が発生でしたが、その後は期間が1年に短縮となり死亡の時期は危難が去った時となり現在に至ります。
戦前に失踪している人は旧失踪宣告の影響を受けそうですが、「この法律による改正後の民法はこの法律の施行前に生じた事項にも適用する。ただし、従前の民法によって申し立てられた失踪宣告の効力を妨げない」とあり、改正後に申し立てられた失踪宣告の効果は新法が適用されることになります。
現実的な登記方法
戦前に失踪している場合、当然現在も失踪宣告を出すことが可能です。その一方で時効取得による所有権移転を行うこともできます。
失踪宣告の場合は死亡の効果により相続発生となりますが、戦前の失踪の場合家督相続が開始することになります。昭和23年以降にさらに新しい相続が開始していると考えられるため、その相続人相手に遺産分割協議を行うのはほぼ困難です。
時効の要件を満たしている場合は、時効による登記を行った方が現実的かつスムーズにことが運ぶと思われます。