
(出典: 日本公証人連合会)
ニュースなどで公正証書遺言のデジタル化が騒がれております。こちらは一体どのような制度なのでしょうか?詳しくまとめました。
公正証書のデジタル化
今回法改正により今まで公正証書遺言を作る際は、公証役場に出向くことが原則でした。今回その要件が緩和されることになりました。なお自分で作成する自筆証書遺言がデジタルでOKになった訳ではございませんので、間違えないようご留意ください。
従前からの嘱託方式
今までは遺言作成者は原則公証役場へ来所し、印鑑証明書により本人確認を行なっておりました。
※遺言者が長期入院している場合などは公証人が出張し遺言書を作成するケースもございます。ただし病床で遺言書を作成した場合は、通常の手数料の50%を加算、さらに公証人の交通費や日当(2万円)が加算されます。
従来のケースですと、公証役場が近くにない場合、時間と手間がかかる、遺言者が諸事情により公証役場に行くのが難しい場合、費用面の負担がかなり出るというデメリットがございました。
今回の制度改正に新たに認められた嘱託方式
嘱託にかかる電子データに電子署名をし、電子証明書を添付しメールで送信し電子的に本人確認をする形で遺言を作成することが2025年10月1日より認められ、既に運用が開始しております。
まずは東京都の一部の公証役場で導入され、順次全国に拡大されていきます。
Web会議による公正証書遺言作成
公証役場の外から、Web会議を利用し公正証書遺言を作成できるようになりました。まずウェブ会議招待メールからウェブ会議に参加をし、公証人による本人確認・意思確認が行われます。
公正証書の案文が画面に表示され公証人が読み上げ、立会者が確認します。問題なければ電子サインを行い送信します。最後に公証人が電子サインをし、公正証書遺言の原本が完成します。
リモートによる公正証書遺言作成の要件
なお従来のやり方が廃止になったわけではなく、当然現在も主流です。リモートによる公正証書遺言作成には一定の条件があります。
1.嘱託人又は代理人によるリモート方式利用の申出があること
2.公証人が嘱託人・代理人のリモート参加を相当と認めること
3.嘱託人・代理人のリモート参加について、他の嘱託人に異議がないこと
特に公証人が必要と認めるかどうかが鍵となりますので、その点に注意が必要です。
参考:公証人手数料
(公証人手数料令第9条別表)
| 目的の価格 | 手数料 | |
| 50万円以下のもの | 3,000円 | |
| 50万円を超え、100万円以下のもの | 5,000円 | |
| 100万円を超え、200万円以下のもの | 7,000円 | |
| 200万円を超え、500万円以下のもの | 13,000円 | |
| 500万円を超え、1,000万円以下のもの | 20,000円 | |
| 1,000万円を超え、3,000万円以下のもの | 26,000円 | |
| 3,000万円を超え、5,000万円以下のもの | 33,000円 | |
| 5,000万円を超え、1億円以下のもの | 49,000円 | |
| 1億円を超え3億円以下のもの ⇒ 49,000円に超過額5,000万円までごとに15,000円加算 | ||
| 3億円を超え10億円以下のもの⇒ 109,000円に超過額5,000万円までごとに13,000円加算 | ||
| 10億円を超えるもの ⇒ 291,000円に超過額5000万円までごとに 9,000円加算 | ||
なお謄本を紙での発行の場合、用紙1枚につき300円、電子データでの発行の場合1件につき 2500円となります。
